太陽に水星をぶつけたらどうなるのか

投稿者：ギュスターヴ

もし太陽に水星をぶつけたらどうなってしまうのか？というのが今回のテーマです。

どうやってぶつけるのか？

ここでは、水星の公転軌道をずらして、太陽に衝突させるプランについて考えてみようと思います。

公転は、天体が軌道上を回る運動のことを指します。

水星を始めとする太陽系惑星は太陽の周りを「公転」している事になります。

太陽系惑星は太陽の引力に引かれますが、同時に太陽系惑星が太陽を中心に回転しているために遠心力が発生します。

この引力と遠心力が釣り合っているため、太陽系惑星は太陽に向かって直接落ちることはなく、太陽の周りを安定した軌道で回り続けています。

逆にこの引力と遠心力のバランスを崩せば、太陽に水星をぶつけることが出来ると考えられるのです。

水星の地中深くで超大爆発を起こして、水星の進行方向とは逆方向の推進を得ることで、無理矢理水星を減速させ、引力と遠心力のバランスが崩すことが出来ると考えられています。

この方法により水星の軌道をずらす事が出来ます。

この水星を減速させるほどの超大爆発を現代の技術で行うのは現実的ではありませんが、核融合が可能になれば水星を減速させるエネルギーを作り出せる可能性があります。

ここからが本題です。水星が太陽へ衝突すると何が起きるのでしょうか。

太陽に水星が衝突するとまずは、太陽の対流層に穴が開き、放射層にある大量の恒星物質が噴き出します。吹き出した恒星物質は、次第に太陽の自転によって渦巻き状の大気層を形成します。

太陽から放出された物質の渦巻きはやがて火星軌道まで達し、太陽系を破壊する連鎖反応を起こします。

火星軌道までばら撒かれた恒星物質により、真空だった宇宙に空気抵抗が発生します。

この空気抵抗により、金星、地球、火星が順に減速し、水星と同じように巨大な3つの隕石となって太陽に墜落します。

ちなみにこうなるずっと前に地球では、摩擦により大気が剥がされ、海は蒸発し、巨大な彗星へと変わってしまいます。

金星、地球、火星の3つが太陽へ墜落すると太陽物質の噴出はさらに激しくなります。

水星が墜落した時に出来た物質流の柱は、1本から4本に増えます。この3つの惑星の合計質量は水星の約40倍です。その上、水星よりはるかに高い軌道から墜落するので、衝突時の衝撃も大きくなり、新たな3本の柱に含まれる物質量は水星が墜落した時の数十倍になります。

水星、金星、地球、火星が墜落した時に出来た4本の物質流の渦巻きは、次第に太陽系へと広がり、木星軌道に接近します。

木星の質量は巨大なので、既に墜落した4つの惑星よりも減速効果は小さいのですが、ずっと継続するため、木星の軌道はしだいに太陽へ近づいていきます。

ついには木星も太陽へ衝突するわけですが、木星は先に述べた惑星の合計質量の600倍もあります。木星が太陽に衝突すると凄まじい量の恒星物質が太陽系に流出する事になります。

木星が太陽に衝突したことで、太陽から流出する恒星物質の外縁は天王星か海王星まで到達します。外縁部の恒星物質の密度が希薄だとしても摩擦によって生じた減速は、最終的に残るこの二つの惑星とその衛星群を太陽へ引っ張り墜落させてしまいます。

水星という惑星1つ太陽にぶつけたことで太陽系全てが飲み込まれる連鎖反応が起きることがわかりました。

ちなみに今回の話には元ネタがあり、「三体II 黒暗森林下」というSF小説の中で予想されています。

興味のある方はぜひ読んでみて下さい。